2013/10/05に開催されましたアジャイルツワー大阪2013に参加してまいりました!
AgileTourOsaka2013
中身が濃いセッションで、大変勉強になる内容でした。
いつも重宝させて頂いております。有難うございます!
「AgileTourOsaka2013 #agileto2013 のまとめ」
■アジャイルマーケティングがより良い製品を届ける
keynoteは、Chris Kruppa氏のアジャイルマーケティングの話です。
氏の経歴等は告知サイトの紹介を参照して頂くとして、
マーケティングだけでなく、技術の話もできるとても凄い方でした。
(10/10 追記。スライド資料が公開されましたので追加します。
著作権的に不味いものが削られており、会場で拝見したものと若干異なっています)
以下は、原田さんの同時通訳+オレオレ英語解釈で理解した内容です。
■そもそもマーケティングって何だろう?
マーケティングという言葉は、人によって、全く意味合いが異なってしまい議論がかみ合わない事が多いそうです。
ベトナムでこの話をすると多くの人は、「マーケティングとは、マスコット作ったり、宣伝したり多くの人に告知をすること」と思われる方が多いとの事。
私もマーケティングとはそういうものだと思ってました(汗
会場から挙がった意見としては、
・市場調査
・予測と分析
・ニーズ調査
・自らのアイデンティティを明らかにする
・製品の市場テスト
などなど。
Chris氏が言うには、マーケティングとは、
大きい視点で見る必要性との事だそうです。
■マーケティングにおける4つのP、4つのC
4つのPとは、
- Price(価格)
- Place(流通)
- Product(製品)
- Promotion(プロモーション)
売り手からの目線で考えた4つのマーケティングツールの事。
4つのCとは、
- Customer(顧客)
- Communication(コミュニケーション)
- Cost(コスト)
- Convenience(利便性)
4つのPを顧客(買い手)視点に置き換えた概念となります。
現在はこの4つのCがマーケティングの主流になってきているそうです。
■企業文化としてのマーケティング
マーケティングに大切なことの1つがブランディング。
企業文化や、企業魂のようなものと言われてました。
それには4つの要素があり、
- Identification(共感)
- Enthusiasm(熱意)
- Transparency(透明性)
- Communication(コミュニケーション)
との事。
事例紹介として、イギリスのロックバンド「Radiohead」は、インターネット上でアルバム「In Rainbows」を販売しました。
しかし、値段は敢えて定めず、好きな金額を払って下さいという形をとりました。
つまり、払わなければタダでアルバムが聞けることになります。
お金を払わなかった人は全体の33%で、多くの人は幾ばくかの金額を払ったそうです。
そしてこの話は続きがあり、このマーケティング手法で有名になった彼らが、アルバムを現物のCDで売り出したところ、多くの人に買ってもらう事が出来ました。
購入者の中には、インターネットでアルバムを既に買っていた人も多かったそうです。
同様に、ライブチケット販売も大盛況だったそうです。
昨今、ステマという言葉が流行っていますが、ここら辺を狙ったマーケティングなのでしょうね。
反発されているのは、透明性が無いからでしょうか。
■アジャイル・マーケティング
マーケティングの世界も、不確定に対応するためのアジャイル・マーケティング・マニフェストが出来たとの事。
What is Agile Marketing?
Chris氏が用意して頂きました日本語訳を下記に記載致します。
Responding to change over following a plan
計画の遂行よりも、変化への対応を
Rapid iterations over Big-Bang campaigns
ビッグバンキャンペーンよりも、すばやい繰り返しを
Testing and data over opinions and conventions
意見と会話よりも、テストとデータを
Numerous small experiments over a few large bets
大きな少数の賭けよりも、小さな多数の実験を
(※少数の大きい賭けよりも、小さな多数の実績を・・・のほうが判り易いかな)
Individuals and interactions over target markets
市場目標よりも、個人と対話を
Collaboration over silos and hierarchy
縦割りや階層構造よりも、協調を
アジャイル・マニフェストと概念は同じですね。
このマニフェストをふまえると、
運用とマーケティングは、
- 組織コミュニケーション
- アジャイル組織
- 機能横断チーム
- 交渉よりも協調を
の形になるそうです。
■質疑応答
質問:
「新しいプロダクトを作り出すのに、強いリーダ。カリスマな人は必要ですか?」
回答:
「必ずしもリーダが必要とは思わないです。
アイデアは1人ではなく、チームからも出る事はあります。
社内肩書きに関係なく、フランクに話せる協調できる組織が大切だと思います」
質問:
「昔の海外企業は、パーテーションや個人の部屋など比較的プライベートな場所や空間で、仕事するのが多かったのですが、何故今のようなチームによる開かれた空間での仕事と変わったのですか?」
回答:
「誰かが困っていたら、気づいた人が助けてあげる。チームの協調性が高まったら、自然と個室や区切りがなくなって、お互いの顔が判るような形と変化していきました。」
■すぐそこにあるDevOps
日本MSのエバンジェリストである、長沢智治さん(
@tomoh)によるDevOpsの話です。
長沢さんのお話しは特定ツールや環境に依存しないお話しなので、大変勉強になります。
余りの宣伝の無さが逆に心配になるぐらいww
長沢さんのセッション資料としては、AgileTourの1週間前に行われたJAWSの資料なのですが、ほぼ同じなので掲載させて頂きます。
(もし、AgileTourのセッション資料がUPされましたら、差し替えます)
以下はセッションで気になった個所です。
- 現在はITは不可欠!
- 市場の動向が大切になってきている
- 現在は開発途中でも、ビジネスは変化していく
- 長い開発期間では変化に対応出来ない
- 決定権が、CEOからCTOへ
- 決定権が、CIOからCMOへ (@fuku518さんご指摘有難うございます)
- 10年前のAgileがやっと活躍できるのが、今のITビジネスなのでは
- EnterpriceもDevOpsの時代へ
- BML(
Business Build、Market Measure、Lean)の循環が大切 (@fuku518さんご指摘有難うございます)
DevOpsというと、運用保守と一体化した開発というイメージを持っていたのですが、
時代は攻めの運用ということなんですね。
ABテストを常に仕掛けたり、MVP(Minimum Viable Product)作ったりなど。
こうなってくると、お客の儲けの何%を頂く代わりに開発費は低くするなど、
新しい受注スタイルが産まれるのは当然ですね。
そうして、また開発部門を自社内に内包していくのでしょうかね。
歴史は繰り返すみたいで、面白そうです。
■折り紙を使ったワークショップ
セッション途中に、折り紙を使ったワークショップがありました。
ネタバレになるので、詳しくは書きませんが、頭のいい人は凄いなと思いました。
どんな思考しているのか、脳を覗いてみたいです。
■プロジェクトを導くしなやかな背骨
山本雄一郎さん(@u1r_red)が現場で実践された、アジャイル実施結果と考察の紹介です。
とても面白い内容でした。
個人的に気になった個所は、
『何故アジャイルをするのか?』という疑問に対して、
- 疑問を晴らす、不足を埋める
- 評価しなければ、結論が出ない
- 判明したから、変化が出来る
だから、アジャイルを使うという箇所でした。
なるほど、すごく納得が出来ました。
あとは、表現が独特で面白かったです。
目的が無い戦略で右往左往する様を、「ミジンコが暴れている」という表現は初めて聞きました(笑
■凄い人達によるディスカッション
セッション最後は、スピーカ達によるディスカッションです。
文字で多少なりとも伝われば良いのですが、海外エンジニアの隆盛と対比して、日本エンジニアの将来を憂う辺りなど・・・
会場が一瞬凍りつくさまは、文章では表現できないですね。(;^_^A
■質問1
今後、DevOpsが進むと個人に必要となる知識はますます増加するのですか?
回答
全部を学ぶのはやはり無理。今後も特定分野の専門家は存在することになる。
しかし、専門家に全部任せるのではなく、ツッコミを入れれるぐらいの知識は必要になるかと思う。
現場で考えるというのが一番大切で、その為の知識は必要という事。
■質問2
日本のエンジニアが置かれている今の状況で、若い人たちにはどのような警鐘を鳴らされますか?
回答
若いエンジニアには、ベトナム・中国などに行って、現地エンジニア達の熱意や給料を見てこいと言っています。
■質問3
海外のエンジニアの熱意やレベルが高いという事ですが、どのような状況ですか?
回答
オブショア下請けから、自社サービスを始めるというのが主流になってきています。
大学間のレベル差というものは存在していますが、みんなやる気が高く、ベトナム全土で約5万人のエンジニアが活躍しています。
また、日本からの仕事は、実装とテストしかやらせて貰えなく、javaを知らない日本人が書いた間違っているかもしれない設計を実装するのは嫌と言う人もいます。
お金よりもやりがいがあるかで、仕事を選んでいる人が多いです。
■質問4
ミニマムに作って、顧客からフィードバックを得たいと思っていても、
なかなかミニマムに作れません。なにかアドバイス頂けますでしょうか?
回答
ミニマム作っていて、時間がかかるのなら、それはミニマムでない可能性が高いです。
見せたいものが多いと、複数をパラレルで用意したくなりますが、スプリント内で3つしか用意できないのなら、その3つだけを見せて、早めにフィードバックを頂けるようにしましょう。
ミニマム例として、ログイン画面だけ用意して中身はComming Soonのまま、GoogleAdなどで宣伝して、人が集まってきてから、ページ内部を実装し始めました。
1行もコード書いていませんが、これもミニマムの一例です
時間が足りず、回答されなかった質問も多くありました。
メモした中で気になったものを挙げると
- 客が気づいていない潜在ニーズの掴み方
- Cross Functional Team(機能横断チーム)をするための良いツールってありますか?
- 戦略を理解しようとしないメンバーはどうすればいい?
- DevとOpsが別会社の場合の良いコミュニケーションとフィードバックを得る方法は?
- 仮見積もりが独り歩きする
どれも気になる質問です。
機会があれば、聞いてみたいと思います。
■まとめ・感想
今回で2回目の参加となったAgileTour大阪ですが、今回はマーケティング、DevOps、アジャイル実践ガイドなど、昨年とは違った形で大変勉強になる内容でした。
マーケティングの世界にもAgileが取り入れられているというのは、かなり衝撃でした。
顧客とも、同じチームとして動こうとするのなら、壁がどんどん取り外されていくことになりますから、これからのIT業界どうなるんでしょうかね。
なんにせよ、技術スキルが無いと、エンジニアとして生き残りに苦労しそうですね。
もっと、頑張らなくは!